あ行
(1)アイヌ施策推進法 「アイヌ 施策 推進 法」は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(2019年施行)のことです。アイヌ民族を「先住民族」と初めて法的に規定しました。それは、文化振興だけでなく、地域振興、観光振興、アイヌ文化の継承など、民族の誇りが尊重される社会の実現を目的としています。具体的には、市町村が策定する地域計画に対し、国の交付金制度を創設して支援するほか、アイヌ施策推進本部を設置して総合的な推進を図っています。
(2)アフリカ連合(AU) アフリカ連合(AU)は、アフリカ大陸の55の国と地域が加盟する、地域統合と平和・安全保障の推進を目的とした国際機関です。2002年に、前身のアフリカ統一機構(OAU)を発展的に解消して設立され、欧州連合(EU)をモデルとした政治・経済の統合を目指しています。本部はエチオピアの首都アディスアベバにあり、加盟国の首脳が集まる年次総会で主要な決定が行われます。
(3)暗号資産 暗号資産とは、インターネットの中だけでやりとりされる、通貨のような機能を持つ電子データです。 紙幣や貨幣などの実態は存在しません。 以前は「仮想通貨」と呼ばれていましたが、令和2年(2020年)5月に施行された資金決済法の改正により、国際標準である「暗号資産」(crypto-assets)に呼称が変更されました
(4)育児・介護休業法 育児・介護休業法は、働く人が育児や家族の介護と仕事を両立できるように、事業主が講ずべき措置などをまとめた法律です。正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。
(5)イノベーション イノベーションとは既存の仕組みや考え方に革新的なアイディアや技術を取り入れて、新たな価値を生み出すことです。かつては「技術革新」と訳されることが多かったですが、現在は技術だけでなく、ビジネスモデルやサービス、組織の変革などを含む広い意味で使われています。イノベーションは、企業や社会の競争力強化や課題解決、経済成長の原動力となります。
(6)インフォームドコンセント インフォームド・コンセントとは、医療従事者が患者に対し、自身の病状や提案された検査・治療について十分に説明し、患者がそれを理解・納得した上で、同意または拒否をすることです。これは、患者の自己決定権を尊重することを基本理念としており、「説明と同意」とも訳されます。
(7)エシカル消費 エシカル消費とは、「人や社会、環境、地域に配慮した消費活動」のことです。単に「安い」「便利」といった自分だけの視点ではなく、商品の裏側にある社会的な課題を考慮しながら選択する消費のあり方を指します。
か行
(8)外国人参政権 「外国人参政権」とは、日本に在住する外国人(日本国籍を持たない人)に、国や自治体の選挙権(投票権)を認めるかどうかという議論です。国政参政権と地方参政権があり、生活に身近な地方参政権の付与を巡る議論が、特に1990年代以降活発に行われてきました。
(9)介護保険 介護保険とは、高齢化の進展に伴い介護が必要な人が増加するなか、その介護を社会全体で支えることを目的として、2000年4月に創設された公的な社会保険制度です。介護が必要になった場合に、原則1〜3割の自己負担で介護サービスを受けることができます。
(11)仮想通貨 仮想通貨とは、インターネット上でやり取りされる、中央管理者が存在しないデジタル資産です。 ブロックチェーンと呼ばれる技術で管理され、円やドルのような法定通貨とは異なり、価格が大きく変動する傾向があります。 「仮想通貨」は2020年5月の資金決済法改正により、国際標準である「暗号資産(crypto-asset)」に名称が変更されましたが、現在も「仮想通貨」という呼称が使われることがあります。 に
(12)カーボンニュートラル 「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガス(CO2など)の排出量から、森林による吸収量や技術による除去量を差し引き、全体の排出量を実質ゼロにする状態を指します。地球温暖化を食い止めるための重要な目標であり、排出量の削減と吸収量の増加の両面から取り組む必要があります。
(13)起業 起業とは、自らアイディアやビジョンをもとに、新しく事業を立ち上げることです。個人事業主や法人設立など、様々な形態で始められますが、既存のビジネスを引き継ぐのではなく、自分自身でゼロから事業を始めることを指します。
(14)企業の社会的責任(CSR) CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が自社の利益追求だけでなく、社会的責任を果たすために、環境や社会への配慮をしながら企業活動を行うという考え方です。具体的には、従業員の働きやすい職場環境づくり、地域社会への貢献、環境問題への配慮(CO2削減など)、人権の尊重、倫理的な事業活動などが含まれます。
(15)キュッシュレス決裁 キャッシュレス決済とは、現金を使わずにクレジットカード、電子マネー、QRコードなどを用いて支払いを行う方法のことです。これらは決済端末にかざしたり、スマートフォンでコードを読み取ったりして支払いが完了します。
(16)クラウドファンディング クラウドファンディングとは、インターネットを介して、共感を呼ぶプロジェクトや活動に対して不特定多数の人々から少額ずつ資金を集める仕組みです。銀行融資などと異なり、支援者へはプロジェクトにちなんだリターン(見返り)を提供することが一般的です。
(17)経済のデジタル化 経済のデジタル化とは、IT(情報技術)を活用して経済活動やビジネスプロセスを変革し、生産性向上や新たな価値創出も目指すことです。具体的には、紙の書類を電子化する、オンライン決済を導入する、リモートワークを可能にするなど、様々な方法があります。これは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の考え方にも通じており、単なる業務の効率化にとどまらず、ビジネスモデルそのものを変革する動きも含まれます。
(18)後期高齢者医療保険 後期高齢者医療制度とは、75歳以上のすべての方(一定の障害があると認定された65歳唐4歳の方を含む)を対象とした医療保険制度です。2008年(平成20年)4月に創設されました。 75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や会社の健康保険から自動的に脱退し、後期高齢者医療制度に加入します。
(19)公正 「公正」とは、偏りがなく、正しいこと、また、誰の目から見ても公平で、法や道義に反しないことです。単に皆を同じように扱う「平等」や、機会を均等にする「公平」よりも、より深く、社会のシステムや構造そのものに焦点を当てて、不正や不平等を是正しようとする概念です。
(20)幸福追求権 幸福追求権とは、日本国憲法第13条に規定される「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」であり、国民が自分自身の人生をどのように生きるかについて、自らの意思で自由に決定できる権利です。この権利は、自己決定権や「新しい人権」を保障する根拠となり、プライバシー権や環境権などが幸福追求権に基づいて認められてきました。
(21)効率 効率とは、投入したリソース(時間、労力、コストなど)に対して得られた成果の割合、または無駄を省いて、少ない投入でより多くの成果を得ることです。数式で表すなら「成果 ÷ 労力」となり、この割合が高いほど効率が良いとされます。
(22)合理的配慮 合理的配慮とは、障害のある人が、障害のある人が、障害のない人と平等に教育、就労、その他の社会生活を送れるよう、過重な負担にならない範囲で、個々の状況に合わせて行う必要な配慮や調整のことです。障害者差別解消法に基づき、行政機関や事業者にはこの合理的配慮の提供が求められています。重要なのは、障害のある人と提供する側が対話を重ね、共に解決策を考えていくことです。
(23)国際分業 国際分業とは、各国がそれぞれ得意な分野の生産に特化し、それらを輸出しあうことで、コスト削減や生産効率の向上を図る経済連携のことです。自然条件や社会・経済的条件の違いを活かし、各国が自国で低コストで生産できるものを多く作り、互いに貿易することが目的です。
(24)個人企業 個人企業とは、法人として登記されていない個人が、個人名で経営する事業体のことです。例えば、個人の経営する工場、小売店、飲食店、美容室などが該当します。個人事業主とも呼ばれ、開業届を提出すれば誰でも始められますが、事業の全責任を個人が負うという特徴があります。
(25)コンパクトシティ コンパクトシティとは、住まい、交通、公共サービス、商業施設などの都市機能を都市中心部に集約し、効率的な都市構造を目指す考え方や政策です。これは、広がる都市の郊外化(「ドーナツ化現象」)を防ぎ、人口減少や高齢化が進む中で、生活の利便性を維持しながら行政コストを削減することを目的としています。
さ行
(26)サイバー攻撃 サイバー攻撃は、コンピューターシステム、ネットワーク、デジタルデバイスへの侵入や妨害を行い、損害を与えようとする試みであり、多くの場合、データ盗難や金融詐欺などの悪意のある目的のために行われます。
(27)シェールガス シェールガスとは、頁岩(けつがん)と呼ばれる硬い岩石の地層に閉じ込められた天然ガスのことです。従来の天然ガスと異なり、地下深部の岩盤に分散して存在するため、「水圧破砕法(ハイドロリック・フラクチャリング)」などの特殊な技術を用いて採掘されます。
(28)自己決定権 自己決定権とは、自分の生き方や生活スタイルについて、他からの干渉を受けずに自分で決める権利です。日本国憲法第13条の「幸福追求権」に含まれるものと考えられており、職業、結婚、医療、服装、髪型など、個人の私生活に関する様々な事柄に及びます。特に医療分野では、患者が十分な説明を受けた上で、自分の意思で治療方針を選択・拒否する権利として重要視されています。
(29)社会的公正 社会的公正とは、社会のすべての人が平等に扱われ、機械や資源が公平に分配される状態を指します。これは「社会正義」とも訳され、単に状況を「公平」にするだけでなく、不平等な社会構造そのものを是正し、より正しい道理に基づいた社会を目指すという考え方です。
(30)持続可能な開発のための2030アジェンダ(行動計画) 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」とは、2030年までに持続可能な世界を実現するための国連の行動計画です。このアジェンダは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核としており、貧困や飢餓の撲滅、教育、気候変動対策など、経済・社会・環境の側面を統合的に扱う普遍的な目標です。
(31)持続可能な開発目標(SDGs) 持続可能な開発目標(SDGs)とは、2030年までに貧困や飢餓、環境問題、格差の是正など、地球上のあらゆる課題を解決し、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指す、国際社会全体で取り組む目標です。具体的には、「経済」「社会」「環境」の3つの側面をバランス良く達成するため、17の大きな目標と169の具体的なターゲット(達成基準)から構成されています。
(32)自治体財政健全化法 自治体財政健全化法とは、地方公共団体の財政状況を統一的な指標(健全化判断比率)で公表し、財政悪化が基準を超えた場合に「財政健全化計画」または「財政再生計画」の策定を義務付ける法律です。目的は、財政破綻を未然に防ぎ、迅速な財政の健全化・再生を図ることです。
(33)循環型社会 循環型社会とは、限りある資源を効率的に利用し、廃棄物の発生を抑制して、リサイクルなどによって資源を循環させることで、環境負荷を最小限に抑える社会です。これは、「大量生産・大量消費・大量廃棄」という従来の社会のあり方から脱却し、資源の枯渇や環境問題に対処するための持続可能な社会モデルです。
(34)循環型社会形成推進基本法 「循環型社会形成推進基本法」とは、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会を見直し、天然資源の消費を抑制し環境負荷を減らす「循環型社会」を形成するための基本的な考え方と施策の方向性を示す法律です。2000年(平成12年)に公布、2001年(平成13年)に施行されました。
(35)情報通信技術(ICT) ICT(情報通信技術)とは、「Information and Communication Technology」の略で、デジタル情報をやり取りするための情報技術と通信技術を統合した技術の総称です。パソコンやスマートフォン、インターネットといった情報技術(IT)に、電話やネットワークなどの通信技術(C)を加えた概念で、通信を介して人と人とがつながることを重視しています。近年は、教育や医療分野、テレワークなど幅広い分野で活用が進んでいます。
(36)情報モラル 情報モラルとは、情報社会において適正に活動するための考え方や態度のことです。具体的には、インターネットやSNSを正しく安全に利用し、他者の人権や知的財産権を尊重し、情報発信に責任を持つこと、そして情報機器の利用と健康との関わりを理解することが含まれます。
(37)情報リテラシー 情報リテラシーとは、インターネットやSNSなど、膨大な情報の中から信頼できる情報を選び取り、それを正しく理解・分析・評価して、目的に応じて活用する能力です。これには、情報を見つけ出す力、情報の真偽を判断する力、情報を適切に整理・発信する力などが含まれます。
(38)人口知能(AI) 人工知能(AI)とは、コンピューターに人間の知能を模倣させ、自ら学習・推論・判断・認識・予測などを行うための技術です。具体的には、言語の理解や翻訳、画像認識、自動運転、データ分析、業務の自動化など、多様な分野で活用されています。AIの核となる技術は「機械学習」であり、特に「深層学習(ディープラーニング)」の発展によって、より高度な処理が可能になっています。
(39)3R(スリーアール) 3Rとは、「Reduce(リデュース:ごみを減らす)」、「Reuse(リユース:繰り返し使う)」、「Recycle(リサイクル:再資源化する)」の3つの行動の総称です。これは、ごみを減らし、資源を有効活用することで、循環型社会を目指すための考え方です。
(40)税金の公平性 法律によらなければ、国家は租税を賦課徴収できず、一方、国民は租税を租税を負担することはないことをいう。 社会の構成員として、税を広く公平に分かち合っていくため、「公平・中立・簡素」を原則とした税の制度としています。
(41)政治資金規正法 政治資金規正法とは、政治団体や公職の候補者による政治活動を、国民の監視の下で公明正大に行うために、政治資金の収支の公開と寄付の授受を規正する法律です。具体的には、収支報告書の提出義務付けと公開、そして企業団体献金の制限などを定めています。
(42)性の多様性 性の多様性とは、人の性別は「男性」と「女性」の二つだけではなく、身体的性、性自認、性表現、性的指向が人によって異なる、多様なあり方があるということです。具体的には、身体的な性だけでなく、自分がどの性であると認識しているか(性自認)、どのように自己を表現するか(性表現)、誰に恋愛感情や性的関心を抱くか(性的指向)などが、人それぞれに多様であることを指します。性的マイノリティの総称である「LGBTQ+」も、性の多様性の一部です。
(43)セクシュアルハラスメント セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、相手の意に反する性的な言動や行為のことです。性的な冗談やからかい、不必要な身体的接触、食事やデートへの執拗な誘いなどが該当し、相手に不快感を与えたり、職場環境を悪化させたりするものです。加害者の意図にかかわらず、相手が不快に感じたり、職場で働くことが苦痛になったりすればセクハラとみなされる可能性があります。
(44)セーフティーネット セーフティーネットとは、経済的リスクや予期せぬ損害が発生した際に、人々を保護するための制度や仕組みの総称です。これは、社会保障制度(年金、医療保険など)や、中小企業を支援するセーフティネット保証制度、金融機関破綻時の預金保険制度など、様々な形で存在し、「安全網」と訳されます。
(45)ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS) ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とは、インターネット上でユーザー同士が交流し、情報共有できるサービスです。利用者はプロフィールを作成し、友人や知人、あるいは共通の趣味を持つ人々との間で、文章、写真、動画などを通じてコミュニケーションを取ります。Facebook、X(旧Twitter)、Instagramなどが代表的な例です。
た行
(46)ダイバーシティ ダイバーシティとは「多様性」を意味し、組織において人種、性別、年齢、国籍、宗教、障害、価値観などの様々な違いを持つ人々が共存している状態を指します。ビジネスでは、これらの多様な人材を活かし、能力を最大限に発揮させることで、イノベーションを生み出し、企業価値を高めようとする経営戦略(ダイバーシティ経営)として重要視されています。
(47)地域的な包括的経済連携(RCEP)協定 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定とは、アジア太平洋地域の15か国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、ASEAN10カ国)が参加する世界最大級規模の自由貿易協定(FTA)です。これは、関税の削減だけでなく、電子商取引、投資、知的財産、原産地規則など多岐にわたる分野のルールを統一し、参加国間の貿易・投資を促進することを目的としています。
(48)知的資源 知的資源とは、人材、技術、組織力、ブランド、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れない目に見えない無形の資産のことです。これらの資産は企業の競争力の源泉となり、知的財産(特許や著作権など)を含みますが、より広範な概念です。
(49)地方分権一括法 地方分権一括法とは、国と地方公共団体(都道府県、市町村)の関係を対等・協力関係に変え、地方の自主性・自立性を高めるための改革を総合的に進める法律です。具体的には、国の権限を地方に移譲したり、「義務付け・枠付け」と呼ばれる国の関与を緩和したりすることが主な目的です。これまでにも複数回、法律が成立しており、特に1999年に成立した第1次法律は、国と地方の関係を従来の上下関係から対等・協力関係に改める画期的なものでした。
(50)直接金融 直接金融とは、企業などが金融機関を介さず、株式や債券の発行などを通じて投資家から直接資金を調達する方法です。一方、銀行などを通して間接的に資金を調達する方法を間接金融といいます。
(51)同一労働同一賃金 「同一労働同一賃金」とは、同じ企業・団体内で、仕事の内容や責任が同じであれば、雇用形態(正社員、パート、有期雇用、派遣など)にかかわらず、同一賃金を支払うべきという考え方です。これは、賃金だけでなく賞与、手当、福利厚生など、あらゆる待遇における「不合理な差」を禁止するものです。
(52)同和対策審議会 同和対策審議会とは、1960年に設置された総理府の付属機関で、被差別部落問題(同和問題)の解決に向けた国の方策を審議しました。1965年の答申で、同和問題は「基本的人権に関わる課題であり、国の責務かつ国民的課題である」と位置づけ、この答申に基づいて同和対策事業特別措置法が制定され、様々な対策事業の実施につながりました。
(53)ドント式 ドント式とは、衆議院・参議院の比例代表選挙などで用いられる、議席を政党に配分するための計算方法です。各政党の総得票数を1、2、3…と正の整数で順に割り、その「商(結果の数)」が大きい順に定数(議席数)が埋まるまで配分していきます。この方式は、得票の多い政党にも少ない政党にも比較的公平に議席が割り当てられるのが特徴です。
な行
(54)南米南部共同市場(MERCOSUR) 南米南部共同市場(メルコスール)は、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国が加盟する関税同盟で、域内の貿易障壁を撤廃し、加盟国間で共通の対外関税を導入することで、地域経済の統合を目指しています。1991年のアスンシオン条約に基づき1995年に発足し、域内の自由な流通と対外政策の協調を目的としています。
(55)難民の地位に関する条約(難民条約) 難民条約とは、1951年「難民の地位に関する条約」と1967年「難民の地位に関する議定書」の総称です。人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある人々を「難民」と定義し、その保護に関する国際的な基準を定めた法的文書です。この条約は、加盟国が難民を自国へ強制的に送還してはならない「ノン・ルフールマン原則」をはじめ、難民に対する人道的かつ法的な保護を義務付けています。
(56)日本司法支援センター(法テラス) 日本司法支援センター(法テラス)は、国が設立した、法的トラブルを抱える人のための総合案内所です。主な業務は、法制度に関する情報提供や相談窓口の案内、経済的に余裕のない人向けの無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替えです。「法テラス」という愛称は、法律(法)で社会を明るく照らし、相談者がくつろげる「テラス」のような場所でありたいという思いが込められています。
は行
(57)パレスチナ問題 パレスチナ問題とは、イスラエル人とパレスチナ人との間で続いている、土地の領有権や民族自決権などをめぐる紛争のことです。この対立の歴史は1世紀以上におよび、解決が困難な問題とされています。
ま行
(58)マイクロクレジット マイクロクレジットとは、貧困層や低所得者など、従来の金融機関から融資を受けられない人々を対象とした、無担保で低金利の小口融資です。これは貧困削減や経済的自立を支援する「マイクロファイナンス」と呼ばれる金融サービスの一種で、貧しい人々が事業を始めたり、経済的に自立したりするための元手となります。
(59)メタバース メタバースとは、「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、インターネット上に構築された3次元の仮想空間です。ユーザーは「アバター」と呼ばれる自分の分身を介して、この空間を自由に散策し、他のユーザーとコミュニケーションをとったり、様々な活動をしたりすることができます。
(60)メタンハイドレート メタンハイドレートとは、天然ガスの主成分であるメタンが、水分子とカゴ状に結合してできた氷状の物質です。火を近づけるとメタンが燃えることから「燃える氷」と呼ばれ、海底や永久凍土の地下に存在します。メタンガスを豊富に含み、環境負荷の低い次世代エネルギー資源として期待されており、日本近海にも多く存在します。
(61)メディアリテラシー メディアリテラシーとは、テレビ、新聞、インターネットなどのメディアから発信される情報を、批判的に読み解き、その真意を理解した上で、適切に活用する能力のことです。具体的には、情報の真偽や偏りを見抜く「読解力」、情報を取捨選択する「活用力」、そして情報を自ら表現・発信する「創造力」を複合的に持つことです。
や行
(62)有形資産 有形資産とは、物理的な形を持つ資産の総称で、現金、土地、建物、機械設備、商品、在庫など、目に見えるものが該当します。企業にとっては、売上を上げるために必要となる固定資産だけでなく、在庫品や原材料といった流動資産も有形資産に含まれます。
(63)有限責任 有限責任とは、会社が倒産した際に、出資者が負う責任が出資した金額の範囲内に限定されることです。つまり、出資したお金は失われる可能性があるものの、個人の財産が会社の借金を肩代わりするために追及されることはありません。
ら行
(64)リージョナリズム リージョナリズムは、**「地域主義」や「地方主義」**を意味し、普遍的な価値観や中央集権に代わり、地域ごとの特殊性や主体性を重視する考え方です。文脈によって複数の意味を持ち、美術、建築、政治学、環境問題など、分野によって具体的な内容は異なります。
わ行
(65)ワークライフバランス ワーク・ライフ・バランスとは、「仕事」と「仕事以外の生活(育児、介護、趣味、学習、休養など)」の調和がとれ、両方が充実している状態を意味します。単に仕事と私生活のどちらかを選ぶのではなく、それぞれの活動が好循環を生み出すように、個々のライフステージや状況に合わせて多様な働き方や生き方が選択できる状態を目指します。
欧文略称
(66)AU 「AU」は文脈によって意味が異なり、「アフリカ連合(African Union)」、「KDDIの携帯ブランド「au」、または「アクティブユーザー(Active User)」などの意味があります。文脈に応じて判断する必要があります。
(67)BRICS BRICSとは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5か国を指す言葉です。この頭文字を取って名付けられ、特に経済成長が著しい新興国を総称する言葉として、もともとは2001年にゴールドマン・サックス社が提唱した「BRICs」が広まりました。2011年に南アフリカが加わり「BRICS」となり、さらに2024年からはエジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が正式加盟し、10か国体制となっています。
(68)CSR CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略で、企業の社会的責任を意味します。企業が利益追求だけでなく、環境問題や人権、労働環境など、社会全体に配慮した責任ある行動をとるべきだという考え方です。この責任は、法律を守るだけでなく、自発的に倫理的で持続可能な活動を行うことを含みます。
(69)EPA 「EPA」には、「経済連携協定(Economic Partnership Agreement)」と「エイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic Acid)」の2つの意味があります。前者は国や地域間での貿易・投資の自由化などを進めるための協定であり、後者は青魚に多く含まれる必須脂肪酸の一種です。どちらを指すかは文脈によって判断する必要があります。
(70)ESG投資 ESG投資とは、企業の環境(E)・社会(S)・**ガバナンス(G)**の3つの要素を考慮して投資先を選別する投資手法です。財務情報に加えてこれらの非財務情報も評価することで、長期的な企業価値向上や持続可能な社会の実現を目指します。
(71)ICT ICTとは、Information and Communication Technology(情報通信技術)の略で、情報技術(IT)に「Communication(通信)」の要素を加えたものです。ITが情報そのものを扱う技術全般を指すのに対し、ICTは情報を共有・伝達する技術や、それを使ったサービス、コミュニケーションまでを広く含みます。例えば、メールやSNS、オンライン会議、電子書籍、電子商取引などがICTの活用例です。
(72)IoT IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略で、身の回りのさまざまなモノをインターネットに接続し、データの収集や交換を行う技術のことです。スマートスピーカーやスマートホーム製品のように家電を操作したり、工場の機器データを分析して効率化したり、自動車やセンサーを活用してスマートシティを実現するなど、私たちの生活や社会に広く活用されています。
(73)LGBT LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとった、性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)の総称です。近年では、その他の多様な性のあり方を示す「Q(Queer/Questioning)」や「+(プラス)」が加えられ、「LGBTQ」や「LGBTQ+」と表現されることも増えています。
(74)LGBTQ+ LGBTQ+とは、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称で、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」「クエスチョニング(またはクィア)」の頭文字をとった言葉です。+(プラス)は、これらのすべてに当てはまらない多様なセクシュアリティ(性のあり方)を含んだ意味を持っています。
(75)MERCOSUR メルコスールとは、南米南部共同市場のことで、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国が1995年に発足させた関税同盟です。域内の関税撤廃や共通の貿易政策を目的としています。準加盟国としてチリやボリビアなどが参加しています。
(76)NIES 「NIES」(ニーズ)とは、新興工業経済地域(Newly Industrializing Economies)の略語で、1970年代以降に急速な工業化と経済成長を遂げた国や地域を指します。特にアジアの韓国、シンガポール、台湾、香港の4か所を指すことが一般的です。
(77)POSシステム POSシステムとは、「Point of Sales(販売時点情報管理)」の略で、所品の販売時点の情報をリアルタイムで記録・集計・管理するシステムです。これにより、いつ、どの店舗で、どんな商品が、いくらで売れたかといったデータを収集し、売上や在庫の分析に活用できます。
(78)RCEP RCEPとは、「地域的な包括的経済連携(Regional Comprehensive Economic Partnership)の略で、ASEAN10カ国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する自由貿易協定(FTA)です。世界経済・貿易の約3割を占める世界最大級の自由貿易圏を形成し、加盟国間の関税の段階的な削減・撤廃や投資、サービス、電子商取引、知的財産などの分野でルールを統一することを目指しています。
(79)SNS SNSとは「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」の略で、インターネット上で人々が交流し、つながりを築くためのサービスです。利用者はプロフィールを作成し、文章、写真、動画などを投稿して友人や同じ趣味を持つ人々とコミュニケーションを取ることができます。代表的なサービスには、Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、LINEなどがあります。
(80)USMCA USMCAとは「米国・メキシコ・カナダ協定(United States-Mexico-Canada Agreement)」の略称で、2020年7月に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)の後継協定です。電子商取引や知的財産権の保護といった現代の貿易問題に対応し、自動車の原産地規則の厳格化、労働・環境保護の条項追加など、NAFTAからの変更点が多く含まれています。


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